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腫瘍科(がん・しこり)
犬の皮膚肥満細胞腫(Mast Cell Tumor)
犬の皮膚肥満細胞腫(Mast Cell Tumor)
1. 肥満細胞腫ってどんな病気?
肥満細胞腫は、ワンちゃんの皮膚に発生する悪性腫瘍(がん)の中でもっとも一般的なものの一つです。名前に「肥満」と付いていますが、太っているかどうかは関係ありません。この腫瘍の最大の特徴は、腫瘍細胞の中にヒスタミンなどの「かゆみや赤みの原因となる物質」をたくさん蓄えていることです。そのため、しこりを触ると急に赤くなったり、腫れたり(ダリエ徴候)、ワンちゃんが気にして舐めてしまうことがあります。また、これらの物質の影響で、胃潰瘍ができたり吐き気を起こしたりすることもあります。
2. かかりやすい犬種や年齢
5歳以上の中高齢で多く見られますが、若い子でも油断はできません。特にパグ、フレンチ・ブルドッグ、ボクサー、ゴールデン・レトリーバーなどの犬種で発生しやすいことが知られています。
3. 診断(検査)は?
・細胞診(FNA):細い針で細胞を採取し顕微鏡で観察します。特徴的な顆粒を持つ細胞が見られるため、多くの場合これで仮診断が可能です 。
・CT検査・超音波検査:当院のCTを用い、リンパ節や内臓(肝臓・脾臓など)への転移がないかを精密に評価(ステージング)します 。
4. 治療法について
肥満細胞腫の治療は、その子の「グレード(悪性度)」や「進行具合(ステージ)」に合わせて、いくつかの方法を組み合わせて行います。
・外科手術(第一選択):腫瘍とその周囲の健康な組織をまとめて切り取ります。肥満細胞腫は「根を張る」ように広がるため、見た目よりも広く、深く切り取ることが再発防止に不可欠です。
・抗がん剤・分子標的薬:手術で取り切れない場合や、転移の可能性がある場合に検討します。副作用が少なめの分子標的薬が効果を示すことも多いです。
・放射線治療:手術した場所の再発を防ぐ目的や、手術が難しい場所にある腫瘍を小さくするために行われます。
実際の症例紹介(閲覧注意:手術の画像が含まれます)
名前:S. R.ちゃん(ミニチュア・ピンシャー、8歳5か月齢)
できものの見ため
手術計画
大きく切除する必要があるため、欠損部を覆う皮弁が必要でした
切除後
2cmのマージンと筋膜を切除したため、大きな欠損部ができてしまいます。
同時にリンパ節を摘出し、ステージング(転移のチェック)を行います。
術後の創部
手術翌日から元気にお散歩が可能でした
入院:4日間
肥満細胞腫が心配な飼い主さんへ
皮膚の「しこり」は、見た目だけでは良性か悪性か判断できません。特に肥満細胞腫は「あなどれない腫瘍」ですが、早期発見・早期治療ができれば、完治を目指せる病気でもあります。
「最近急にしこりが大きくなった」「触ると赤くなる」など気になる症状があれば、お早めにご相談ください。
ご注意:この情報は一般的な解説であり、すべての症例に当てはまるわけではありません。治療方針は個々の状態に合わせて獣医師が決定いたします。
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